トータルファッションメンテナンスの可能性と必要性
2026年10月27日
捨てる時代から、直して大切に使う時代へ~
私が長年、洋服のお直しやリペア、靴・カバンのメンテナンスに携わってきて、今、強く感じていることがあります。
それは、「トータルファッションメンテナンスは、これからの社会に絶対に必要な仕事になる!」ということです。
なぜそう思うのか?
今回は、ファッション業界の現状、環境問題、そして私たちの仕事の未来について考えてみたいと思います。
① ファッションは「買うこと」ばかりでいいのか?
今の世の中には、安くておしゃれな洋服や靴、カバンがあふれています。ファストファッションの普及によって、誰でも気軽にファッションを楽しめるようになりました。これは素晴らしいことです。しかし、その一方で大きな問題があります。「安く買って、傷んだら捨てて、また買う」この繰り返しで本当にいいのでしょうか?衣類の大量生産・大量廃棄は、資源の消費やCO₂の排出、廃棄物の増加など、地球環境に大きな負担をかけています。さらに、安さを追求するあまり、生産現場の労働環境が問題になることもあります。これからは、買うことだけでなく、「今あるものをいかに長く大切に使うか」という考え方が必要だと思うのです。
② トータルファッションメンテナンスとは?
私が提唱しているトータルファッションメンテナンスとは、洋服だけでなく、靴やカバンまで含めたファッション用品全体を、修理・再生・メンテナンスすることです。
例えば、- 洋服のキズ・穴・ほつれ修理- ファスナー修理・交換- パンツやジャケットなどの寸法直し- ジーンズのリペア-
靴底の剥がれや破損の修理- スニーカー・革靴の洗浄やメンテナンス
カバンのキズ・色あせ・破損の修復、洗浄、メンテナンス
短期寿命の合成皮革やポリウレタン混入品など特殊素材のメンテナンスまでこれらを総合的に提供する仕事です。
今までなら捨てられていたものが、ちょっとした技術で再び使えるようになる。サイズが合わなくなった洋服も、寸法直しによってまたお気に入りの一着になる。汚れた靴も、きれいにするだけでファッション全体の印象が変わります。ファッションの価値は、新品を購入することだけではないのです。
③ 衰退するクリーニング業界にも大きな可能性がある!私は、これまでクリーニング業界の現状についても何度も問題提起してきました。家庭用洗濯機や洗剤の進化、家庭で洗える衣類の増加、生活スタイルの変化などによって、従来型のクリーニング需要は長期的に減少しています。
加えて、人手不足、人件費や光熱費の上昇、経営者の高齢化、後継者不足など、業界を取り巻く環境は非常に厳しくなっています。
しかし、私はこの業界にまだまだ大きな可能性があると考えています。それが、「洗うだけの仕事から、直す・よみがえらせる仕事への進化!」です。
クリーニング店には、衣類を扱う経験、素材の知識、地域のお客様との信頼関係があります。そこにファスナー修理、キズ穴修理、寸法直し、靴・カバンのメンテナンスなどの技術を加えれば、今までとは違う新しいサービスを提供できます。既存のお客様に新たな価値を提供し、客単価や収益性を高める可能性もあります。
私は、トータルファッションメンテナンスこそ、クリーニング業界が新しい未来を切り開くための有力な選択肢だと思っています。
④ AI時代だからこそ、人の手による技術が必要になる!
これからAIやロボットの進化によって、多くの仕事が変化していくでしょう。事務作業、情報処理、接客の一部などは、AIによって効率化・自動化されていくと考えられます。
では、洋服のお直しや靴・カバンの修理はどうでしょうか?
一つひとつ素材が違う。傷み方も違う。構造も違う。お客様の希望も違う。その状態を判断し、最適な修理方法を考え、実際に手を動かして仕上げる。こうした仕事を完全に機械化することは、決して簡単ではありません。もちろん、私たちもAIを積極的に活用すべきです。
しかし、「AIを活用する頭脳」と「人間にしかできない繊細な技術」を組み合わせることで、さらに大きな可能性が生まれると思います。
これからの時代、手に職を持つことは大きな財産になるのではないでしょうか。
⑤ 最大の問題は、技術を持った人材が不足していること!
私が今、最も危惧しているのは、リペアや寸法直しの技術を持つ人材が減っていることです。
かつて日本には、多くの縫製職人や洋服のお直し職人がいました。しかし、国内縫製産業の縮小や職人の高齢化によって、技術を継承することが難しくなっています。
一方で、洋服や靴、カバンを直して使いたいという需要は、これからも存在するはずです。需要があっても、それに対応できる技術者がいなければ仕事は成立しません。
だからこそ私は、「リフォーマー」という新しい専門職をもっと広めたい!と考えています。
リフォーマーとは、衣類のリペアや寸法直し、靴・カバンのメンテナンスなどを行い、ファッション用品の価値をよみがえらせる技術者です。この仕事は、年齢や性別にかかわらず、技術と経験を積み重ねることで長く活躍できる可能性があります。若い人の職業選択としても、定年後の仕事としても、そして既存のクリーニング店の新事業としても、大きな魅力があると思います。
⑥ 経済にも環境にも優しい、新しいビジネス!
トータルファッションメンテナンスには、3つの大きな価値があると考えています。
【エコノミー=経済的価値】
買い替えるよりも安く修理できれば、お客様の経済的負担を減らせます。同時に、修理技術者や地域のお店に新しい仕事と収益が生まれます。
【エコロジー=環境的価値】
洋服や靴、カバンを長く使うことで、新たな製品の生産や廃棄を減らし、資源の節約や環境負荷の軽減につながります。
【サステナブル=持続可能な社会的価値】
使い捨てではなく、大切に使い続ける文化を育てることができます。さらに、職人の技術を次の世代へ継承し、地域の雇用を守ることにもつながります。つまり、トータルファッションメンテナンスは、単なる修理業ではありません。経済・環境・雇用・技術継承を支える、社会的意義の大きな仕事なのです。
⑦ 私が目指している未来
私は、レッツリフォームの事業を通じて、長年さまざまな修理技術やメンテナンス技術を研究し、実践してきました。そして現在、その技術を次の世代へ伝えるために「レッツリフォームアカデミー・リフォーマー養成講座」にも取り組んでいます。私が目指しているのは、単に自分の会社を大きくすることではありません。全国のクリーニング店、洋服のお直し店、靴・カバン修理店、そして新たにこの仕事を始めたい人たちが、それぞれの技術を生かして活躍できる社会です。
さらに、事業承継やM&Aなども活用しながら、廃業によって失われようとしている技術や店舗、お客様とのつながりを未来に残していきたいと考えています。そのためのレッツ事業承継、M & Aというビジネス活動もしています
そして、いつの日か、「洋服も靴もカバンも、傷んだらまずメンテナンスに出す!」そんなことが当たり前になる社会を実現したいのです。
⑧ 最後に――ファッションいや、人類の未来を変えるのは、私たちかもしれない!
これからのファッション業界に必要なのは、新しいものを作って売ることだけではありません。すでにあるものの価値を守り、よみがえらせ、長く使い続けること。その役割を担うのが、私たちトータルファッションメンテナンスの仕事です。「古くなったから捨てる」「壊れたから買い替える」そんな時代から、「直せるものは直す!」「大切なものは、長く使う!」そんな時代へ。私は、トータルファッションメンテナンスが、これからの日本に必要とされる新しい成長分野になり得ると確信しています。
そして、その可能性を広げていくのは、ほかでもない私たちリフォーマーなのです!
洋服も、靴も、カバンも。洗えば、直せば、また復活する!そしてそのための技術まで!大切なものを、未来へつないでいこう!
株式会社レッツリフォーム代表 高柳光生
